ホーニングと艶消し

金メッキのホーニング(サンドブラスト)は私の大好きな仕様です(個人的には一番かっこいいと思っています)。
凹部分に綺麗なホーニングがかかっているが、凸部分は金メッキの輝き!

ある時、ホーニングの注文がきました。
お客様の要望は「凹凸のエッジをシャープにしてくれ」
「メッキ・ホーニングの状態は以前作った番号(他の商品)と同じに」とのこと。
メーカーに要望を伝えサンプルを作成。

が、サンプルをお客様に確認していただくと
「なんだこれは、ぜんぜんシャープさが無い!」とのお叱りの声が。
この商品は昨年も同じ仕様で作っているとのことで、「昨年のサンプル(これは私のところではなく、他のところで製作したものです)を送るからそれと同じように作ってくれ」
とのことでした。

そのサンプルが私のところに届き見てみると
「お--すげえ!」
「なんてシャープだ!」というよりプレスの凹凸の角度は、現在のサンプルと昨年のサンプルでは同じくらいですが凹凸の溝が浅い!
そのことにより「すげ--!」シャープに見える、と思えました。
よくこんな溝でホーニングを上手く磨いたな、と思いました。

「でも、メッキは汚い色だな」と思いつつメーカーに昨年のサンプルを送付し再サンプルを製作開始。

サンプルがメーカーの所に届いたら、工場長より電話が。
「おい、あれはホーニングじゃないぞ!」(中国語で)
「艶消しの粒子の大きさを調節して、ホーニングっぽくしてるだけだ。」
「お客はこの味(味道:どこのメーカーもよく使います。お客の好みをちゃんと把握した、という時に。味・味・味です)が欲しいのか?」
「なら型から作り直して艶消しで作るぞ!」
などなど、こんな会話が。

んんんんん、そっか去年のサンプルは艶消しなのか。
お客様からホーニングと言われて支給されたので、艶消しとは思いもよりませんでした。
まだまだ俺も青いな!(昨年のサンプルの仕様書も見ていたので、先入観が と思いつつも)

去年は艶消しだった、とお客様に伝え、去年と同じ仕様で作りますよ、ということで艶消しのサンプルを作成。

そのサンプルがお客様のところに届くと今度は
「メッキの色が汚い!」「型はこれでOK!」
「至急、メッキの色は1回目のもので、型は2回目のもので再サンプルを」

おいおい、待ってよ!
1回目と2回目では仕様が違うよ!
去年のサンプルのメッキの色も綺麗じゃないでしょ。

型は艶消しのもので、メッキはホーニング。
無茶区茶だ!(またか、と思いましたが)

仕様の違いなどをお客様に説明。
お客様は何とか技術的なことを理解してくれました。

しかし、「メッキの色は1回目にもので、型は2回目のもので再サンプルを」
との繰り返し。

できねーよーーー!
どうしよ---。

「でも、やれ」の一言のみ。


泣く泣くメーカーと打合せ。
しかし、メーカーの回答は「できるわけ無いだろ!」

やっぱり(正論、自分もそう思うし)。

自分がメーカーに「分かった!俺が週末工場にいくから、それまでにいろいろ試してくれ。」
   「工場に着いたら、俺も一緒にみるから。」
   「メッキをかける前の製品をたくさん用意もしといてくれ。」
と話てなんとかメーカーを説得(?)。

土曜日の朝:5時30分 香港のホンハム駅より電車で広東省へ出発。
(この始発に乗ればメーカーには9時前には着けます。
即効で終わらせて、今週は日曜日は休むぞ!と意気込んで電車へ。
また、私の部屋はこの駅から徒歩5分と、悲しいことに非常に中国に行くことには便利でした。)

工場に着くと早速、サンプルの確認。
しかし、メッキの色が。。。。。。(やっぱり)

メーカーの担当者は「また、無茶なことを言う」と
そしてメッキ・艶消しの工程を一緒に見に行く。
(だろ・やっぱり無理だろ!と私を納得させる為)

落ち込みつつも、いろいろ文句をつけて(文句をつけれる立場ではないけれど)、メッキをこうしろ・艶消しをつける時のニスの粒子の大きさを調節しろなどなど。

メッキの調整 x ニスの粒子の大きさの調整 = ものすごーーーい種類!

何種類作ったろう。

用意をしといたメッキをかける前のもの100個はなくなってしまった。
これ以上のサンプルを作るには今日(土曜日)中には無理、明日になってしまう。
(あーー、やっぱり今週も休み無か)
翌日の日曜日、いろいろ試すと金メッキはなんとか許容範囲の色になってきた。
「よし、これで金メッキは行くぞ!」
が、しかしニッケルメッキがどうしても暗くなってします。
(去年はニッケルメッキを作っていないので、余計にメッキの色(艶消しニッケル)が汚く感じてしまう)

くそーー!と思いつつもなかなか良いメッキの色がでない。
(というか艶消しの時に変色してしまう。どうやったら変色した後の色が綺麗になるかの格闘)

日曜日夜、とうとう終わりませんでした。
日曜日中に帰らないと、香港の仕事が。。。。
月曜日、早朝から再度挑戦!
おおおおおおおおお! 何とか色がでた。

「これ以上はもう知らないよ!」と思いながらサンプルを日本へ送付。
何とか版権もとのOKがでて、めでたく量産へ。

 

 

①ホーニング

プレスした後にピンズのプレートに、小さい粒をぶつけ(メッキ前)非常に細かい砂目をつける(凹部分のみ)・というより均等できれいな艶消しを作るでしょうか。
艶消し部分をこすっても艶消しは落ちません。

細かい粒子をぶつけた時、金属の表面に傷ができます(傷が艶消しです)。
その傷を磨くことにより(凸部分)、光沢を戻します。
他の仕様より磨く量が多くなるので、プレスの時凹凸を大きくプレスします。
(細かいデザインは磨きの工程で潰れやすく、磨きが難しい)

 

②艶消し

一般的な艶消しの方法はメッキ後の製品に、ニスを吹きかけて艶を消します。
ニスを吹きかけた後、凸部分をきれいに拭き取ることにより凸部分は光沢が戻ります。
ニスを吹き付ける時、ニスの粒子の大きさを調節することにより、艶消し部分の状態の調節ができます。

凹部分は艶消し状態になります。しかし、艶消し部分をこすってやると、艶消しが消えて光沢が出てきます。

ホーニングほど強く磨く必要が無い為、凹凸は少なくできる。
しかし、ニスを吹きかけることにより、凸部分の光沢が濁る(当然、変色させているので)

2004年12月01日